【館長による美術館への招待】vol.1

【館長の美術館への招待】vol.1
〜歴史に彩られるドールハウスと文学展への招待〜
 
はじめまして。箱根ドールハウス美術館館長、ドールハウスコレクターヤス!
ならぬ新美康明です。
今日から箱根ドールハウス美術館の特別企画展「歴史に彩られるドールハウスと文学展」
について、ご紹介を会期中に随時おこないたいと思います。もう来ていただいた方も、
これから来ていただく方も必見!ぜひ読んでください。
 
今日は「イギリスの歴史とドールハウス」についてお話しします。
 
当美術館にある最も古い作品「ハスケルハウス」を所蔵していたのは、
ヴィヴィアン・グリーン(1904-2003)という人物です。彼女は『第三の男』の
原作者として知られるグラハム・グリーンの妻でした。
彼女がドールハウスに興味を持ちはじめた頃、ドールハウスの多くは、
「祖母の持っていたものだけど、汚いので燃やした」といったような運命を辿っていました。
子供のための高級玩具として、無計画に塗り直され、改造されてしまうこともあったそうです。
そのような事例はしばしば彼女を悲しませるものでした。
しかし、彼女はドールハウスの収集と研究を続け、1955年に処女作『イギリスのドールハウス』を出版します。
 
彼女のドールハウスへの情熱によって、より多くの人々がドールハウスを美術品として収集し、
また研究、保存するようになったのでした。イギリスのドールハウスコレクションの草分けと
なった人物といえるでしょう。
 
そんな彼女が収集していたドールハウスの多くは1700年代から1900年代にかけてものでした。その頃のイギリスといえば、スペイン継承戦争で領土が拡大しグレート・ブリテン王国が成立。
また産業革命など、ヨーロッパにおける栄光と繁栄を誇った時代でした。
 
当美術館の入り口からは、そんなイギリスの歴史の変遷が辿れる展示となっています。
戦国時代の中世チューダー朝時代〜華やかなヴィクトリア朝時代のその人々の暮らしや
生き方を時代を追って楽しむことができますよ!

本当の英国を感じられる街と言われるストラトフォード・アポン・エイボンではこうした家々が数多く見られます。この街の出身である、いわずと知れた劇作家ウィリアム・シェイクスピアもこうした様式の家々に囲まれて育ったことでしょう。

これはロバート・スタッブス氏によるチューダー朝のティンバー様式で作られたドールハウス。古いものにこそ価値を置くイギリス人はこうして100年以上の歴史を持つ建造物の中を現代風にアレンジして暮らしている家もあります。